健康住宅を建てる   4. 対策と建材等の選び方


裏技

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今いわれているシックハウス症候群の原因、特に建材に含まれる化学物質の状況について述べてきましたが、どの建材がどのような理由により問題があるのか、またどこまでの範囲で問題なのか充分理解する必要があります。

そうしないといたずらに不安をあおり、そのような消費者心理を利用する業者も現れてきています。製造工程で発生する化学物質も、その後の適切な扱いや処理により影響を低減できるのです。

すでに、住宅を購入、増改築などをすませている方も情報にふりまわされて根拠のない不安感をもたず、建材製造、生産者、またそのことのコスト的な背景などもよく見据えておく必要があります。

健康に考慮した住宅を建てるには建材選びは慎重におこない、特に、塗料、接着剤、内装仕上げ材には注意して、化学物質を大量に被爆しないよう自衛したいものです。
 

 

 

揮発系有機化学物質を多く含む建材の使用は慎重に

揮発系有機化学物質(ホルムアルデヒド・トルエン・キシレン)
と木材保存剤・可塑剤・防蟻剤など室内の空気環境に直接影響を及ぼす薬剤による室内濃度は、それを放散する建材などの使用量に比例しますから内装仕上げ材はデザインや価格ばかりに目を向けないで、揮発性有害物質の含む量も選択枝のひとつに加えてください。
室内濃度への影響は外装、基礎・床下・天井・構造躯体、内装下地材、内装仕上材の順に大きくなります。

小さいお子さんのいる家庭での新築やリフォームでは空気環境に影響を与える箇所での揮発系有機化学物を多く含む建材の使用は控えた方がよいでしょう。
また、入居時には次のことを実践してください。
・窓を開放して自然換気を積極的におこないます
・換気口や給気口は常に開放しておきます
・室内のドアは開けて空気の通り道を作ります
・窓を閉め切っているときは換気扇を活用します
 

さらに、生活の中では建材・施工材以外にも空気汚染源があるので、それらをなるべく持ち込まないようにしましょう。

 

生活の中での空気汚染源

洗浄剤
(クリーナー、ワックスなど)

ホルムアルデヒド、トルエン

塗料及び関連製品
(塗料、スプレーなど)

トルエン

農薬など
(殺虫剤、防ダニ剤、防虫剤など)

キシレン、クロロピリホス、アレスリン、ペルメトリン、フェニトロチオン、フェンチオン、マラチオン、ダイヤジノン

粘着・接着剤
(多目的接着剤、ゴム接着剤など)

トルエン、キシレン、ホルムアルデヒド

化粧品など
(シャンプー、香水、ヘアスプレーなど)

ホルムアルデヒド

自動車用品
(オイル、フルード、ガソリン、ワックスなど)

トルエン、キシレン

趣味用品など
(写真用薬剤、専用接着剤など)

トルエン、キシレン、ホルムアルデヒド、可塑剤(DEHP)

家具、衣類など
(家具、カーテン、マットレス、カーペットなど)

ホルムアルデヒド、可塑剤(DEHP)

開放型燃焼機器など

ホルムアルデヒド

煙草の煙

ホルムアルデヒド

 



 

 


換気


竣工直後は有害な化学物質の影響を受けやすいため、換気を怠らないことが肝心です。揮発性有害化学物質は時間の経過とともに減少していくとされています。

ホルムアルデヒドは1〜2年でそのほとんどは抜けるともいわれていますので、新築後の換気は非常に大切です。

物入れや押し入れなど閉め切った場所は換気しにくいため、化学物質が放散しにくく、濃度が高いまま残存することがあります。

換気量が多くなると室内濃度は希釈されて低くなりますので換気はこまめに行うよう心がけてください。
また、温度が高くなると放散量は大きくなりますから夏期は換気、通気を徹底し、閉め切ったままエアコンをつけっぱなしというのは避けましょう。
 



 

 


ダニ対策

アレルギーの原因となるダニは、繁殖させない工夫が欠かせません。
アトピー性皮膚炎の原因のひとつであるヒョウダニは室温25℃、湿度70%が最も繁殖しやすい環境であるため、換気や通気、除湿が大切です。梅雨などの湿度が高い時期や湿度がこもりやすい場所では除湿器使用して湿度をおさえます。湿度は60%以下が望ましく、冬でも室温は上げすぎないように気をつけましょう。

内装材は木材や、塗り壁、紙の壁装材を使用すると調湿性が高く、材料を吟味すれば有毒な化学物質の影響も受けにくくなります。ヒバやヒノキは天然の防虫効果があるため、内装材に使用すると効果的です。

また、ダニのエサを与えないために掃除をおろそかにしないのも立派なダニ対策といえます。

冷暖房も閉め切った部屋でエアコンを使うというのはいただけません。換気がおろそかになったり、エアコンの掃除をまめに行わないとエアコンがダニやカビの温床になってしまいます。

また、冷気や暖めた空気を循環させて部屋全体の室温を一定に保つ対流式はダニやカビを拡散させることになります。暖房は輻射式にするなどの考慮が必要です。

 


 

 

シロアリ対策

これから家を建てる場合は基礎のコンクリートの下に防湿フィルムを貼り、床下換気を十分にし、水抜きを設ける、さらにステンレス板などで蟻返しを、基礎天端に防鼠材を取り付けるなどの対策をとりましょう。
なお、床構造は床下の空気が室内に流入しない構造であることが大切です。また、床下空気と室内空気を循環させる空調システムを採っている場合は薬剤散布や塗布は避けましょう。

床下の湿気のコントロールには木炭を敷く、床下換気扇を設置する、床下換気口を増設するなどの方法があります。炭は多孔質で調湿性がありますが、せっかく炭を使っても床下の換気がしっかりされていないとかえって湿気を呼びますので正しく用いましょう。

また、従来の薬剤を散布する方法に加えて、土壌表面シート敷き設工法や土壌面皮膜形成法など、薬剤の飛散や放散が少ない工法もありますのでそちらを検討するのも一法です。

これまでは農薬系シロアリ駆除剤や防虫剤、防虫塗料が一般的でしたが、それらに頼らない方法もあります。木酢液やヒノキチオールはシロアリ忌避効果がありますのでそれらを駆除に使うというものです。

それでも効果がない場合はピレスロイド系かカーバメイド系の殺虫剤を慎重に使用します。有機リン系の殺虫剤の使用はなるべく控えるのが賢明でしょう。
なお、保存処理木材の使用に代えてヒバやヒノキ、コウヤマキ、ケヤキなどの耐腐朽性や耐蟻性の高い木材の芯材を使用すれば薬剤処理の必要性も低減します。

なお、木材保存処理は専門工場で防腐・防蟻処理をおこなった製品を使うようにしましょう。現場施工の場合には(社)日本しろあり対策協会で認定した「しろあり防除施工士」の資格を有しているなどの信頼できる業者に依頼することです。

 
 

 

 

壁の仕上げ材

紙、布の壁紙、塗り壁、木による仕上げをお勧めします。有害物質に関しても安心ですし、素材自身が室内の湿度をコントロールしてくれる利点があります。

これらを使用する場合、下地材選びはこだわってください。合板の有害物質が放散されてはせっかく仕上げ材をセレクトしても効果が薄くなります。低ホルムアルデヒド合板(F1タイプ)がお勧めです。

なお、壁紙の接着にはメチルセルロース系の接着剤が好ましいとされています。また、ビニルクロスはできるだけ避けるのが賢明でしょう。

壁紙を選ぶに際して、防腐剤として含まれているホルムアルデヒドについてはJIS A6921で放散量が規定されていますので参考にするとよいでしょう。また壁装材料協会が業界自主ガイドラインとして定めたISM規格や、ドイツのRAL規格、欧州のIGIによるEマークなども参考になります。


 

ISM規格の表

 モノ塩化ビニル

0.2ppm以下(60度のヘッドスペース型ボトルに2時間放置した際のヘッドスペースの発生ガスをガスクロ装置に直接注入し測定した値)

 ホルムアルデヒド

0.05ppm以下(40度の広口瓶に24時間放置し、アセチルアセトン法により生成したDDLを412nm分光光度計で測定した値から換算される空間平衡濃度)

 重金属

バリウム500mg/kg以下、鉛90mg/kg以下、クロム60mg/kg以下、アンチモニー20mg/kg以下、砒素8mg/kg以下、カドミウム25mg/kg以下、水銀20mg/kg以下、セレニウム165mg/kg以下

 安定剤

鉛・カドミウムを用いないこと

 発泡剤

クロロフルオルカーボン類を使用しないこと

 溶剤

壁紙の製造工程において希釈や洗浄に塩素系及び芳香族系の溶剤を使用しないこと。(1998年までに工場のTVOC排出量を50mg/立方メートルとする)

 可塑剤

極めて蒸気圧の低い分子量300g/mol以上の難揮発性可塑剤のみを使用すること。

  


 
 

 

床材

天然木の無垢のフローリング材やコルク、天然リノリウムがお勧めです。
また、ウールのカーペットや麻、ココヤシ床材,籐や竹などの天然敷物床材も優れています。使用の際は裏打ち材や接着剤に留意します。
特に接着剤は天然系のものを使用するようにしましょう。

フローリングを選ぶに際しては、材料と接着剤の両方に含まれる化学物質に留意する必要があります。

木質フローリングの 単層フローリングの場合には、施工に有機溶剤の少ない酢酸ビニル樹脂系エマルジョン型接着剤や一液ウレタン樹脂系接着剤の使用をお勧めします。

複合フローリングの場合には、JAS規格によるホルムアルデヒド放散量の低い製品を選び、施工には単層と同じく有機溶剤の少ない接着剤を使用しましょう。

合成樹脂系フローリング の場合には、ビニル床タイルや床シートからの可塑剤の放散は極めて小さいといわれていますが、施工に使う接着剤からのトルエン・キシレンの放散が考えられますので、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン型接着剤や一液ウレタン樹脂系接着剤の使用をお勧めします。 

  

 

 

接着剤

天然系のものの使用をお勧めします。これらは有機溶剤を使っておらず、広い面積に使っても安心です。
また、壁紙にはメチルセルロース系を、カーペットやフローリングにはダルマン樹脂や天然ラテックス系がよいとされています。

接着剤を選ぶに際して、壁紙施工用でん粉系接着剤の防腐剤として使われるホルムアルデヒドについてはJIS A6922で規定されています。また、 接着剤の成分を確認したい場合には、メーカーから化学物質等安全データーシート(MSDS)を入手することをおすすめします。

施工するにあたっては、使用方法、塗布量を管理し、溶剤型接着剤を使うときは適切なオープンタイムを取るようにします。繊維系断熱材を施工する場合には、防湿シートを室内側にきちんと施工すると有効です。
施工後は換気を充分にして、少なくとも2週間以上、入居までの期間をおくとよいでしょう。 



 
日本接着剤工業会による接着剤のVOC放散、施工性の選択基準   (社)日本接着剤工業会

VOC量

引火性

皮膚刺激性

施工中換気

施工後換気

備考

合成ゴム系
溶剤型接着剤

 

酢酸ビニル樹脂系
溶剤型接着剤

 

合成樹脂エマルジョン型接着剤

微量の溶剤を含む物がある

合成ゴムラテックス型接着剤

数%の溶剤を含む物がある

壁紙施工用接着剤

 

ポリウレタン1液型
接着剤

数%の溶剤を含む物がある

エポキシ樹脂系2液型接着剤

数%の溶剤を含む物がある。主剤・硬化剤の充分な混合が必要

変性シリコーン系接着剤

 

 

凡例

VOC量

引火性

皮膚刺激性

換気

無し

無し

無し

通常の換気

僅かに含有

僅かに有

僅かに有

少し多め

少量含有

中程度

中程度

換気頻度を多く

大量含有

高い

高い

強制換気が必要


  

 

 

塗料

有機溶剤を使っていないものを選びたいものです。天然系で水性または天然油性をお勧めします。エマルジョン系塗料の使用はトルエン・キシレンの放散低減に有効です。

揮発性有害物質は時間経過とともに減少していきますが、有機溶剤塗料に使われるトルエンやキシレンといった揮発性物質は発散持続時間が長いので有害物質が抜けにくいため注意が必要です。

加えて、使用面積が広範囲であったり、木などに染み込んでいると化学物質の総量が多くなるため影響を受けやすいということも忘れてはなりません。
 

 

 

 



畳には有機りん系薬剤(フェンチオン、フェニトロチオンなど)を含んだ防虫加工紙を使っている物が多く出回っています。 JIS規格品の場合、防虫処理の方法として、防虫加工紙使用、誘電加熱処理、真空殺菌処理、防虫加工糸使用などがあり、表示が義務づけられていますのでそれを確認するとよいでしょう。
また、畳床には稲わら以外に心材としてインシュレーションボード(木質系繊維板)やポリスチレンフォーム板(発泡材)などもあります。

わら入り本畳として農薬を使用しないものが出回っています。これらはセラミックで抗菌、防ダニ加工をした畳表やヒノキチオール処理したもの、炭入り畳などがあります。炭入りの場合は炭シートを挟み込むことで除湿作用・防臭効果・マイナスイオンの発生(空気浄化・ストレス解消・疲労解消等)、さらにアルカリ性でで酸化を防ぎ防菌効果ものぞめるというものです。
最近では、ヒバのおがくずを利用したものも出ています。。ヒバにはヒノキチオール・βドラブリン・カンバクロールなど非常に強い抗菌効果を持つフェノール系酸性油とツヨプセン・セドロールなどの防虫効果をもつセスキテルペン類などで構成される精油(ヒバ油)が多量に含まれているため、ヒバのおがくずを畳床に使った畳には、カビや細菌を寄せつけず、ダニには忌避効果、また消臭・脱臭効果もあるといわれています。
本畳床は天然素材(稲わら)であるため、室内の環境条件によって、湿気の吸放湿を自動的に行う湿度調整機能があり、6畳1部屋あたり約3リットルの水分を吸収し、乾燥してくると放湿するという自然のエアコン作用をそなえている。

本来畳は、内装建材として非常に優れています。いぐさ表も藁床も建材畳床も、普通の状態で13%の湿度が含まれており、室内の環境条件により湿気の吸放湿を自動的に行う調湿機能を果たしてくれます。本畳床(稲わら)は6畳1部屋あたり、約3リットルの水分を吸収し、逆に乾燥すると放湿してくれるというデータもあります。
但し、湿度8%では乾燥し過ぎて畳表の強度が落ちてきます。逆に、20%を超えた場合はかびの生えやすい環境になり、、55%以上になるとダニの繁殖する条件となります。温度25〜30度、湿度60〜80%の高温多湿な環境はダニが繁殖しやすいため、畳の持つ特性を活かすためには部屋を閉め切らず通風に心がけるようにします。さらに、ダニのエサとなる埃やフケ、食べかすも丹念に取り除くよう掃除をしましょう。

 


 
 

 

合板

JAS規格の規定によると、合板にはF1、F2、F3にクラス分けされているものがあり、これらF1・F2・F3を「低ホルムアルデヒド合板」と規定しています。室内の空気に触れる箇所で使用する場合は、なるべく低ホルムアルデヒド合板を使用するようにしたいものです。但し、国産合板で「低ホルムアルデヒド」をうたっているもののほとんどがF2以上のレベルのものです。 

合板のJAS規格

規格区分

ホルムアルデヒド
平均放散量

ホルムアルデヒド
最大放散量

主な用途区分

F1

0.5r/リットル以下

0.7r/リットル以下

気密性の高い住宅の家具や内装

F2

 5r/リットル以下

 7r/リットル以下

一般住宅の家具や内装

F3

10r/リットル以下

12r/リットル以下

配慮のあまり必要としないところ
工事から入居まで3週間以上ある場合の家具や内装

 

主な合板の接着剤

ユリア(尿素)樹脂接着剤

タイプ2

60度の温水中に3時間浸けた後、所定の引張り強度を有しているもの

内装・家具など屋内に使われる
耐水性が低い

ユリア・メラミン樹脂接着剤

タイプ1

沸騰水中で4時間煮沸後、60度で20時間乾燥させ、再度4時間煮沸してから、所定の引張り強度を有しているもの

耐水性が高い
屋外にも使える

フェノール樹脂接着剤

特類

沸騰水中で72時間連続煮沸して、引張り強度試験で所定の強度を有しているもの

耐水性と耐久性が要求されるところ構造物や船舶などに使われる

これらはそれぞれホルマリンとユリア・メラミン・フェノールを化学反応させて作られます。そのため、これらの接着剤を総称してホルマリン接着剤といいます。
 

 たとえ、製造中にホルマリンが使用されていても、右の硬化反応で、接着剤中のホルマリンがユリア樹脂などと完全に反応すれば合板にはホルムアルデヒドは存在しなくなる、と理論的にはいえますが、実際には以下に示すような理由により、ホルムアルデヒドの放散をゼロにするのは困難です。


 
「遊離ホルムアルデヒド」
現在の化学的・技術的限界により、未反応のホルムアルデヒドをゼロにすることがなかなかできません。この反応しないで残っているホルムアルデヒドのことを「遊離ホルムアルデヒド」と言います。ただし製造後徐々に合板から抜けていきます。


合板のできるまで
(熱硬化性樹脂)=接着剤 + 硬化剤

 材木を単板に加工接着剤を塗布して貼り合わせ

 
100℃以上で加熱しながら圧締
 接着剤が完全硬化
(一旦硬化すると再加熱や溶剤によっても溶けたり柔らかくなることがない)
 



「潜在ホルムアルデヒド」

ユリア樹脂系の接着剤では、一度硬化した接着剤樹脂自体が、空気中の湿気と加水分解されてじわじわホルムアルデヒドを発生させます。つまり、合板製造時にはたとえ遊離ホルムアルデヒドが無い場合でも、接着剤が分解されて、長年にわたり少しずつホルムアルデヒドが出てくることになります。これを「潜在ホルムアルデヒド」と呼びます。つまり合板の中の接着剤の成分がホルムアルデヒドとなって出てくるわけです。

この、潜在ホルムアルデヒドはメラミン樹脂系ではあまり発生しません。また、フェノール樹脂系ではほとんどありません。

潜在ホルムアルデヒドが少ない= 加水分解を受けにくい = 耐水性が高い 、ということでホルマリン系の接着剤では耐水性の高い接着剤の方が潜在ホルムアルデヒドは少ないとも言えます。

 合板は材木を薄くそいで、(大根のかつら剥きのように)その繊維方向をうまく組み合わせて張り合わせることで、もとの材木以上の材料強度を持たせたり、大きな材料面積を確保したり、元の木の素材的なばらつきに左右されないで製品化できるという利点があります。
その、薄く削がれた木材のシートを接着するために使用されるのが上記のホルマリン系樹脂接着剤です。
このタイプの接着剤は、硬化剤を加えなくても接着剤の製造直後からだんだんと硬化反応が進むという性質をもっています。このタイプの接着剤は未使用のままの保存中においても、どんどん固まっていき、ついには固まって使えなくなってしまいます。これが合板の製造現場での問題点で、未使用の状態でも保存が利くように製造現場では、ホルムアルデヒド含有量の多い接着剤を選んでしまうというのが現状のようです。

接着剤の硬化時間は保存温度などによっても大きく左右されます。 そのため、接着剤の保存条件が悪い東南アジア方面の生産国では、接着剤のホルマリンの割合が多くなりがちで、これらの国々からの輸入合板の中には、ホルムアルデヒドの放散量がきわめて高いものがあります。

特に家具材料、内装材、壁や床の下地材としての合板の利用が多いのはユリア樹脂系接着剤で、これは室内は耐水性を要求されない箇所であるからです。そのため、室内で使用する合板に、もっとも遊離ホルムアルデヒドの放散率の高いものを使うという皮肉な状況となっています。

保存が利く接着剤はホルムアルデヒドが多く、少ない配合の接着剤は保存性が悪くなるということで、接着剤メーカーも合板製造現場も、その辺のかねあいで苦労しているというのが現状のようです。そういう背景があって今のところF1を達成できるユリア樹脂系の接着剤ははありません。

物入れや押し入れ、食器棚などは閉め切って換気しにくいため化学物質が放散しにくく空気中の濃度が高いまま残存することがあります。その対策としては、充分に換気する、暖房等を一時的に使用し室内温度を高めてからホルムアルデヒドを一気に蒸散させ全換気する(ベークドアウト法)、などで初期濃度を低減できます。また、ユリア樹脂系の接着剤では、一度硬化した接着剤樹脂自体が、空気中の湿気と加水分解されてじわじわホルムアルデヒドを発生させるので、除湿等も欠かせません。
それでもホルムアルデヒドが気になるという場合は、ノンホルム合板または天然の国産無垢材や低ホルムアルデヒド含有パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)などの代替材の使用をお勧めします。

MDF(中密度繊維板)
パーティクルボード
OSB(オリエンティッド・ストランド・ボード)などの

化学物質に関するJIS規格

規格

ホルムアルデヒド放散量

E0

0.5r/リットル以下

E1

1.5r/リットル以下

E2

5r/リットル以下

MDF(中密度繊維板)やパーティクルボード、OSB(オリエンティッド・ストランド・ボード)なども規定されています。

 この4月に普通合板JAS規格のホルムアルデヒド放散量の基準が改正。これは住宅用部材として広く利用されている集成材、単板積層材、構造用パネル、難燃合板、防炎合板に対して設けられます。

新規格基準値(単位:mg/L)

標記

平均値

Fc0

0.5mg/リットル以下

Fc1

1.5mg/リットル以下

Fc2

5.0mg/リットル以下

      Fcはホルムアルデヒド濃度の略

 

 

 


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