現場日誌より  


第1回.敷地のはなし
 

現場日誌を通して、住宅の着工から竣工までの流れをご紹介するのが、このページ。

第1回目は
敷地についてお話します。

    建築のプロたちは建設前の更地からいえづくりのためのデータを読みとっています。さらに、地上からは見えない地下も実際の工事に入るまで様々な調査や準備作業をしなければなりません。さっそく、その実際を見ていきましょう 。 



 


■プロが行う、現地調査事項

 
敷地調査は建築家が設計するにあたって、また建設会社が工事の準備をするのに欠かせない重要なことです。

 

 


敷地写真 各方向から敷地を撮る。さらに、敷地周辺の写真も撮っておきます
敷地の形状 →これらを基に敷地図を作成します 

     ・境界線の確認
     ・境界杭・境界石の確認
     ・敷地の各辺の採寸
     ・面積の確認
     ・敷地の高低確認
     ・敷地周辺の道路幅
     ・雨水の排水状況


既存物の把握 → 一見更地に見えても地下には意外な埋設物がある場合があります

     ・電柱・井戸・側溝・既存の基礎や門塀・配管や配線・樹木等

 
隣接地の状況 →通風や日照等計画の参考になります

     ・境界線と隣地建物との距離を計測
     ・隣地建物の基礎状況・給排水や電気等の引き込み状況を把握
     ・隣地建物の状態を把握(高さ・構造・仕上げ・窓や出入り口の位置・煙突・車庫・アンテナ・井戸の有無)


周囲の状況把握

     ・道路幅・道路の表面仕上げと敷地の高低・側溝と公設桝の流れの方向と深さ・街灯や電柱・街路樹・マンホール・消火栓・標識・信号機等・自動車、歩行者の流れ


除去内容 →敷地内にあるもので除去するものを特定します

    樹木・建物・工作物・地下埋設物等


宅地造成の必要性の有無を確認 →それを基にそれぞれの規模と施工時期を決めます

    ・整地・土盛り・擁壁・舗床など→開発行為の申請と許可が必要になる場合もあります


仮説工事のための予備調査 →既設のものを転用できるか新設するか近所で借りることができるか確認

    ・電灯・電力・水


気象条件 →具体的に設計するにあたって地域の気象条件の把握は欠かせません。また、工事進行の段取りにあたって参考にされます。測候所等で統計を調べることもあります

    ・気温・湿度・雨量・恒風・最大風速・積雪量・風方向・季節風・暴風・台風等


法的条件 →各種法規制・手続き等を関連行政機関で調べます

    ・用途地域は都市計画により地域ごとに指定されています。(第1種低層住居専用・第2種低層住居専用・第1種中高層住居専用・第2種中高層住居専用・第1種住居・第2種住居・準住居・近隣商業・商業・準工業・工業・工業専用・指定なし)
    ・用途地域別による制限が決まっています。(延べ面積の敷地面積に対する割合・建築面積の敷地面積に対する割合・外壁の後退距離・高さの制限・道路斜線・隣地斜線・北側斜線)
    ・高度地区・高度利用地区・防火地域・美観地区等


地質関係 →特に鉄筋コンクリート造、などの総重量の大きい建物の場合必要です。それ以外の構造のたてものでも地盤状況によってはボーリング調査を行ったほうがよい場合もありますから建築家や建設会社に相談し、判断を仰ぎましょう。ちなみにボーリング調査は地質調査会社に依頼します。その調査方法もいくつか種類がありますから建築家や建設会社を通して頼みます。だいたい料金は30万円ぐらいからですが、敷地の状態や調査方法によっても増減します

    付近地震力ー付近のたてものの実例をいくつか調べる・付近地質層ー付近ボーリング資料・付近常水位・凍結深度など


構造強度関係 →特に鉄筋コンクリート造、鉄骨造、3階建ての場合必要です

    ・構造計画基準(積雪量・風圧力・震度)地域によって違いがあります

    ・コンクリートの許容強度限界についての特別規定の有無、材料試験所の指定など建築専門家の判断する分野です


避雷針設備特別規定の有無


手続き関係 →設計事務所が役所に提出する書類に関してのものです

     ・確認申請の提出方法・添付すべき書類の内容など
     ・地方公共団体の条例等施工細則の有無


水道関係

     ・上水道(幹線の径・位置・付近の水圧)
     ・公共下水(径・深さ・位置と勾配方向・マンホールの位置・側溝の場合蓋の有無)
     ・水道管に関する特別規定
     ・浄化槽が必要かどうか、必要な場合は大きさの算定方法や放流、構造、方式に関する規定・手続きの方法・必要書類提出先・許可に要する期間の把握
     ・水道条例の特別規定の有無


消防署関係

     ・火災予防条例の特別規定の有無
     ・消防条例の特別規定の有無


保健所関係

    ・浄化槽の放流に関する規定の有無


役所以外で調査すべき事項

     ・電力会社(付近幹線および電柱の位置・電力引き込み線の特別規定・申請に要する期間・手続き方法)
     ・ガス会社(都市ガスの有無・付近本管位置・径・圧力・引き込み方向と費用区分・申請手続きの方法)
     ・電話局(電話回線の余裕の有無・引き込み方法について)
     ・給排水について(井水の場合・吸い込み槽の場合・私費による共同給排水設備の確認)
     ・テレビの受信状況とアンテナ
     ・近所との防犯警報設備について
     ・プロパンガスの集中供給等




 
 

以上、ざっと建築家や建設会社が具体的な設計業務や施工準備を始める前に敷地の状態や性質を読み解く項目を挙げてみました。

建て主のみなさんはこれらひとつひとつの項目を完璧に理解する必要はありません。ただ、一口に設計すると言いますが、たとえ図面に一本の線を引くにあたってもこれらの調査による裏付けがあってのことということを頭に入れておいてほしいのです。

設計には、さまざまな条件が複雑にからんでいますので、それらをひとつの形にまとめていく調整能力が求められます。
とかくデザインや間取りといった目に見える部分に注目しがちですが、本当に快適で安全な家をつくるにはまず、敷地のデータ収集作業と分析作業、それらを設計や工事の実際に活かす能力が大切ということを忘れてはなりません。

次回は建築家に設計を依頼するときのポイントを考えてみましょう。

 

 

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