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建築家が生まれ育った街に自邸を建てるということの意味は、どのようなことなのであろうか。 自閉的ではないこと。人、都市、自然との積極的な接触を喚起する構造の構築がこの住居のひとつのテーマである。それらをコントロールするために、柔らかい外皮の重層とその周辺外部空間を、緩衝ゾーンとしてそれらの開閉操作を行った。 かつて私の知る、そして埋もれつつある川口は鋳物に代表される町工場の町であり、一方で釣り竿や植木の生産地でもある。いわばそれらは手工業的、ローテクな色合いを濃く残している。 材料と工法の選択に当たっては、有機(自然)素材、無機(工業)素材を問わず、その手工業あるいはローテクな臭いを漂わせていることを基準とした。 基本構成の鉄骨造・アスロック、竹とよしずのスクリーン、キーストンプレートの屋根、テラスや植物棚と居室の「入れ子」構造、杉板、障子など、がその選択と操作の結果である。 それらの素材は、当然フリーメンテナンスではない。住居の手入れを続けざるを得ないこと、常に、変化、更新の影が付きまとうことは、私に、そして住居にマイナスばかりをもたらすとは思えない。美しく古くなっていくこと、そしてある時期には再生すること。それらは、住居は生き物でありその姿を町に還元することが、建築家としてのささやかな使命であると思っている。 平面構成としては準二世帯住居である。家人の高齢化に対応しうるように各寝室の配置を決定し、浴室廻りのみを共有している。主室
1/2はそれぞれの世帯が、主室3は多目的に使用している。またそ
れぞれのテラスは主室の延長として、緩衝空間として活用している。 なお、今、竣工後3年半が経過しているが、よしずは色褪せはした
もののまだまだ丈夫で、張り替えは2年後の、竣工後5年に予定している。
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