各々の応募案について、以下に私の感想、そして最終決定案をお伝えします。
まず、このコンペに参加していただいた三人の建築家の方々に感謝いたします。
三案いずれも非常によく練られたプランで、正直いって選択するのは相当困難なことでした。それぞれコンセプトがまったく異なり、プロの発想力には舌を巻きました。とはいえ、どれかに決めねばなりません。そこで、私たちが逡巡した過程はあえて示さず、決定打となった点のみお伝えしたいと思います。
田村氏のプランについて。私がお伝えしたように、「なるべく多くの車を止められるように工夫」していただいた結果、なんと15台! これには驚きました。私が頭をひねって導きだした結果が最大13台だったのですから。水勾配、いくつもの正確な断面図など、お見受けしたところ、土木のプロであるとの印象をうけました。もし、今後駐車場経営のみ何十年もこの地で続けてゆくのであれば、この案に勝るものはありません。しかし、私はこの後自宅を建てる目論見を持っています。それも何年後になるのか(ひょっとして5年後?)まだ未定なのです。仮に自宅を建てようとすると、このプランを採用したときに不可避な真ん中の1メートルの断絶が邪魔なものになってしまいます。結果として、建築時に再度の大掛かりな造成を要することになり、コストパフォーマンスがよいのか、いささか疑問です。駐車場造成後の建築のほうに私がより比重を置いていることを、うまく伝えられらなかったことが残念です。
山田氏のプランについて。とてもエレガントな設計図で、築山を作り自然との調和を目指すなど、まったく思いもよらなかったことであり、目からうろこでした。方向転換スペースの発想もよく、駐車場の使い手によく配慮されていて、氏のバランス感覚の良さに魅せられました。ただ、築山となる予定の南東角を中心に将来家を建てるつもりであり(ここの地盤が一番安定しているためです)、さすればこの地を築山として残すことが長期的にコスト削減につながらないこと、強度を上げようとの意図で提案された地下駐車場での車二台の出し入れが不便で、賃貸するにせよ自ら用いるにせよ、あまり実用にそぐわないように思えたこと、さらにここは高級住宅街で(コンペの前情報では示していませんが)、軽自動車四台はこの地域のニーズに合わないことなどが、ネックとなりました。
最後に筧氏のプランについて。シンプルな設計の中に、見出せる限りの可能性を吟味しようとする姿勢が窺われました。最終決定者である私に、様々な可能性を提示し、どんなプランにも応じてみせようという柔軟さが感じられました。将来の家の建築に対する配慮、具体的なコストの提示など、漠然とした将来設計しか持ち合わせていない私たちに安心を与えてくれたように思います。
結果、最後の筧氏の案を採用することとなりました。繰り返しますが、どの案が最良であったかではなく、どれが今の私たちのコンセプトに一番フィットしたかということです。重ねていいますが、どの案も大変すばらしいものでした。皆さんの今後のご活躍に期待しています。