■建物を奥に寄せる、2つの庭をとる

教会に印象的な存在感を与えるために、あえて建物を敷地の奥に寄せて手前に前庭をとりました。ここには樹が植えられ、掲示板やベンチが設置されて街に開放された憩いのスペースとなります。
また、敷地の最も奥の部分にもうひとつの庭(奥庭)をとりました。こちらは聖なる領域(サンクチュアリ)として位置付けられ、街の喧噪から遮断された静かなスペースとなります。


■掲げられた十字架、浮かぶファサード

敷地のほほ中央、駐車スペースの上部に十字架が浮かぶように掲げられ、建物のみならず敷地全体を神の領域として定義します。正面から見ると前庭の木立の脇から突き出して見えます。夜間にはほのかにライトアップされ、ほんとうに浮いているように見えるでしょう。
また、教会の入口上部のファサードは建物本体から距離をとって一枚のスクリーンのように浮いています。教会のファサードは古来ステンドグラスや尖塔などによって特徴づけられてきましたが、ここでは前庭の背景となり風に揺れる樹の影を映し出す物静かなファサードです。


■前庭から奥庭へ向かって歩いてみる

まず歩道からフラットに続く前庭に入り、木陰を通り抜けていくと教会の入口に辿り着きます。扉を開ければ、そこは細長い通廊のようなロビーです。右手のルーバー状の壁から差し込む光が床に規則正しい模様を描き、視線の先には小さな中庭に置かれた像が明るい光に照らされて、歩みを導きます。

中庭の手前で左に折れると礼拝堂の入口があります。礼拝堂は2層吹き抜けの丸天井の空間で、注意深く計算された光がそそぎこむ美しい空間です。南側ハイサイドライトからの柔らかい光(2階中庭でいったん和らげられた間接光)が礼拝堂全体を満たし、西側スリットからの光が正面の十字架を包むよう照らし、入口と対角線上(礼拝堂正面右手)にある東側の開口部からは奥庭の鮮やかな芝生が見えます。


■サブスペースは機能的に

礼拝堂に付属する事務室や会議室などはロビーに沿って配置されています。それそれは可動間仕切りによって区画され、大きな催しのときにはロビーや礼拝堂も含めたひとつの空間として使うことができます。また、台所とトイレは水まわりとして1ケ所に集約しています。


■住居は2階に

牧師住居は別棟とせず教会の2階に配置しました。これは、建物をコンパクトにしてオープンスペース(2つの庭)を確保するとともに、コストダウンにもつながります。結果的に、住居を南側と西側に開くことができ、陽あたりの良さとしっかりしたプライヴァシーを同時に得ることができました。また、1階の牧師室と2階のリビングルームが玄関を介して内階段によって結ばれ、来客の応接に柔軟に対応できるようになっています。

 
春日部幹建築設計事務所
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